TPP祭りもだいぶ下火になってきましたねwちょっと飽きてきたけど、前回の日記で書けなかった医療と労働者の問題を書きたいと思います。本来TPPとは関係なくやらなきゃいけない改革だから、あまり絡めたくないけど交渉においてまったく無関係というわけではないので一応書きます。あとメキシコとカナダのTPP参加表明を受けて、現時点での考えも追記しておきます。経済、貿易に関してはこちら「TPP交渉参加 まとめ1(経済・貿易)」医療・保健に関しては以前歯医者に勤めていたのと小額短期保険ですが財務省に個人代理店の登録をしてますので レセプト、保険についての心得は多少はあるつもりです。 >医療・保健制度が米国基準になって、国民皆保険がなくなって医療費が高くなるんじゃ?米国の医療・保険制度は酷いようですが、 酷い方に合わせなければならない理由がわかりません。 ニュージーランドやオーストラリアには公的医療保険、 もしくは準じるものがすでにありますし、アメリカでも皆保険を導入しようとしているのに 皆保険を破壊してどんなメリットがあるのか? 日本は米国の圧力もあってすでに保険商品の自由化が進んでいます。銀行での保険商品販売も2007年に解禁されました。 外資も参入し、競争のおかげで今は魅力的な保険商品が沢山あります。 国民健康保険の存在が外資の参入を阻んでいるわけではないし 内国民待遇の原則に反しないので、非関税障壁にあたりません。
ただ医科で混合診療が認められていないため 高度先進医療や未承認新薬においては障壁になっています。 ですからTPP批准に際して制度の内容は少し変わる可能性はあります。 先進国ではほとんどの国に公的医療保険がありなおかつ混合診療が認められている国も多い。
TPPにより世界基準に近づくというならば 日本も皆保険維持、混合診療解禁という流れが自然だと思います。 日本でも歯科は混合診療です。
保険治療だけで治療をすべて完結することもできますが 検査や基本的な治療は保険でやって、 色が綺麗なセラミックの被せ物、インプラント、金属床の入れ歯等 オプションで自費治療も追加できるのです。 ですから日本の制度では混合診療はできない、 下手にいじくると保険制度が崩壊して自由診療しかなくなり 医療費が高くなるなどということはありません。すでにやってるんですから。 自由治療も組み合わせられるようになったら 当然医療費の平均はあがりますが、保険者(国保・社保等)の支払い額は減ります。 2009年の国保の赤字は2600億円。保険料が安くても赤字分を税金で負担しなきゃいけないなら医療費が安いとはいえない。 だったら自費治療の選択肢が増える方が良い。私が医科の混合診療の必要性を感じたのは、5年前に父がガンを患った時。
治療や薬の情報収集に際し、多くのガン患者が混合診療を望んでいることを知りました。 ガンの治療や薬の開発スピードはとても速く、次々に新しい技術や薬が発表されます。
なのに海外で開発され臨床試験に合格し実際の効用が確認されていても 日本で承認されるまでには数年かかります。 最短でも1年半。せめて一部だけ自費で…と思っても、本来保険診療の部分まで 全額自己負担になってしまいます。
ですから今の日本では高度先進医療を受けるのは金持ちしかできないのです。 悔いを残しながら亡くなっていく患者は大勢います。 医師会は反対しています。 全員が保険を使えることが命の平等だといいますが、患者の選択肢を奪っているだけです。 医師会は格差が怖いだけで患者のためにいっているのではない。 医者の中にも今の保険制度を良く思ってない方もいるはずです。 最新の技術や新薬を導入したくても保険の縛りが強すぎて思い通りの治療ができない。 実力を発揮するためには海外に行くしかないという状況です。
日本の優秀な医者は次々に流出してしまう。
TPPをきっかけに医療・保険制度の改革が進むのであれば歓迎します。 >外国人労働者が沢山流入して、日本人の雇用が奪われるのでは??非熟練労働者(単純労働者)と専門的・技術的分野において活躍する 熟練労働者に分けて考えなければならないですね。 上の保険に関して言うと、私の考えでは外国人労働者が入ってきたからといって 保険料がどんどん高くなるとは思っていません。
日本でも外国でも労働力人口にあたる年代の医療費は低く 病気、死亡のリスクが高くお金がかかるのは老人です。 むしろ日本は人口が減少に転じ、 少子高齢化が世界一早いスピードで進んでいますので 新規労働者によって現老人世代の社会保障をより広く分担でき、 日本の若年世代にとっては負担減となるメリットがあります。 一方、デメリットとして考えられるのは 単純労働者を受け入れた多くの国が不法滞在者増、 社会に溶け込めないまま定住し失業率の増加等の問題を抱えていることですね。 しかしIT技術者など高度な技能を持つ熟練労働者については経済発展に大きく貢献しています。 シリコンバレーにおけるインド人の活躍は周知の通りです。 私もかつてIT企業に勤めておりましたので、優秀なインド人チーム の働きぶりには舌を巻いたものです。 日本の大企業には中国や韓国からの優秀な人材も数多くいます。 日本政府は単純労働者の受け入れはしない方針ですが、 ここは交渉ですからなんともいえません。
もし単純労働者について規制緩和されるようであれば私はTPP反対派にまわるでしょう。 経済のためには優秀な外国人が入りやすい環境を作るのはメリットですが 日本は島国ということもあり外国人に対する差別や偏見が強い。 損得勘定じゃなく精神的な拒否というのもありそうな気がします。 結構難しい問題ですね。 >カナダ、メキシコもTPPに参加表明しました。中野准教授はNAFTAでカナダとメキシコは米国に酷い目に遭った被害者と言っていましたが、ならなぜTPPに参加するのでしょう。 それは自由貿易によるメリットを存分に受けているからに他ならない。 もちろん農業が圧迫されたりというデメリットもあります。
しかしカナダとメキシコはGDPも順調に成長、特にメキシコは輸出入が倍増。
NAFTA3カ国のGDPはEUを凌ぐものになっています。 米国の市場が縮小傾向の今、あらたな自由貿易協定により貿易を広げていきたいと 思うのは当然です。 しかしそれはアジアを侵略するとかそういうことではなくあくまで互恵を目指すものです。 相手国の制度をめちゃくちゃにして利益が見込めるわけがない。 TPPは経済連携協定であって、自由内政干渉協定ではないのです。 自由貿易は確実に追い風となり経済を成長させるのです。 >最後にもはや日本は貿易立国ではなく資本投資国です。(貿易黒字より、企業が海外子会社の配当などで得る所得収支の方が多い) 05年を境に逆転しました。
内閣府 経常収支、対外投資内訳 日本は海外にたくさん資産がある金持ちです。 その資産が生み出す配当金、利子、不動産転売利益等がどんどん日本に入ってくる。 ですからGDPの輸出入依存度が低いのは、日本が投資で儲けている国だからなのです。 (2009年の統計で、GDPの輸出依存度11.4%、輸入依存度10.8%)震災後平均株価が上がったのは震災対応で海外資産を売ると思われたからです。 世界を見渡しても大災害の後、株価が上がる国なんて日本くらいだろうと思います。 でもこの資産は何十年も貿易黒字で稼いできたお金で蓄えたものでもあるのです。 さらにこのお金が国内消費の刺激になっている。 資本投資国といっても、 輸出入額という絶対値でみれば世界第4位(H21)の貿易大国であることには変わりありません。
貿易、投資、消費はともに相互関係があります。貿易が滞れば共倒れなのです。 逆に言えば、貿易を増やすことは投資、消費の底上げになり、GDPもさらに成長する。
TPPによる経済効果は高いといえます。
自由貿易により新しい価値観が入れば古い体制が揺さぶられるのは間違いないですが 今はまだ不透明な部分が多く、賛成派も反対派も前例をもとに 憶測で議論しているに過ぎない。 本当のメリットデメリットを知るために交渉に参加はすべきです。 メリットは多く、デメリットは少なく折り合いがつけば批准すればよし、 国益に反するならば椅子を蹴る勇気も持たねばならないと思ってます。 ■シンガポール首相、日本のTPP交渉参加を歓迎(読売新聞 – 11月18日 23:54)。